平成楽曲研究所《キョクラボ》

平成生まれのオタクたちが、音楽について語ります。

何故俊龍は"強い"のか -伝えたい3つの理由と、知ってほしくないもう1つの理由-

こんにちは。ほえぃると申します。

普段は仕事の合間にアニソンDJやったり、同人誌即売会の主催やったり、DJイベントの主催やったりしてる者です。

早速ですが、ブログ第一回目の記事は、オタク大好き"俊龍"のことについて書こうと思います。

俊龍とは?

俊龍(しゅんりゅう)は、日本の作曲家。男性。血液型はO型。星座はやぎ座。Sizuk Entertainment所属。(wikipediaより引用)

石原夏織小倉唯などの声優アーティスト、アイマスなど、アニソンのイメージが強いですが、実はAKB48グループにも多数楽曲提供をされている方でもあります。


かく言う私も俊龍楽曲大好きです。
俊龍という名前を知らない頃から、初めて惚れたアニソンは"Mermaid Festa vol.1"、遊戯王5D'sで一番好きな曲は"明日への道〜Going my way!!〜"でした。
その後俊龍という作曲家を知り深く掘り下げているうちに、俊龍フェスというDJイベントでレギュラーをやるくらいには好きになりました。

そんな俊龍ファンは私以外にも少なくないようです。
先日の"THE IDOLM@STER MUSIC ON THE RADIO"にゲストで登場したときには、"俊龍"というワードがTwitterトレンドに挙がるほどの勢いでした。
(余談ですが、俊龍のラジオ出演はこれが初ではなく、ゆいかおりの実 最終回にゲスト出演してからおよそ3年4か月振りとなります。)


では何故、俊龍はこれほど注目を集める作曲家なのでしょうか?


・・・こういった記事を読むと、"コード進行"やら"○○年代の○○を彷彿とさせる○○サウンド"みたいな小難しい専門用語が沢山並ぶイメージがありますが、残念ながら私にそんな知識はありません。
というか、俊龍を強いと感じているオタクの大半が、音楽に対する専門知識など持ち合わせていません。
それでも、多くのファンが"強い"と感じるのは何故でしょうか。


理由は大きく4つ。3つは知ってほしい。1つはあまり知ってほしくないです。
でも、最後の1つが一番大きい理由です。


このブログでは、専門的な単語を可能な限り排して、多くの方が理解しやすい言葉を心掛けます(そんな言葉しか私は書けません)。
その分、決して洗練された深い内容ではありませんが、肩の力を抜いてお読みいただければと思います。


オンリーワンのイントロ


人間の印象は、出逢って10秒で決まる。なんて話を聞いたことがありませんか?
だから身だしなみには気をつけなさい。と新入社員研修では間違いなく教わると思います。学生諸君は覚えておきましょう。


サブスクで音楽を流し聞きする時代において、イントロは短くすることを求められるそうです。
でないと飽きられてしまい、最後まで曲を聞いてもらえないから。
詳しく気になる方は以下の記事をどうぞ。

www.tbsradio.jp


そんな時代において、楽曲の印象が決まる最初の10秒くらいって物凄く重要な時間です。

そこが俊龍の楽曲は非常に特徴的です。
音がハッキリしていて、何より聞いたときに他楽曲と被らないよう、常に新しい旋律を携えてきます。
最初の10秒で"私はこういう曲です!!"と猛アピールをしてきます。
以下の曲が参考になります。(サブスクリプションで聞ける曲を選んでます)

Secret Dream/ステラマリス
Singularity Point/石原夏織

曲の最初から強烈な自己紹介をぶつける姿勢が、サブスク主流の時代に迎合したのだと思います。

ハッキリとしてわかりやすい主旋律


アニメソングって元々、これから流れる作品の内容を紹介し、共感を得た人へ興味を持ってもらうため誕生しました。
曲単体で人気を得たとされる最古のアニソン"鉄腕アトム"が誕生した1963年以降、アニソンは作品に寄り添った歌詞となるケースが多いです。
つまり、アニソンは歌詞が主役として誕生した音楽です。(ここは長くなるので、後日別途記事にしようと思います)


そのため、アニソンはボーカルの歌詞が一番大きい音となるようにマスタリングされるケースが非常に多く、この傾向が"アニソンっぽさ"を生み出しています。

俊龍の楽曲もこの例に漏れず、ほぼすべての楽曲においてボーカルの音が一番大きく出ているのですが、俊龍らしさはこのボーカルが歌っていないときに現れます。

ボーカルが歌っていない時間には、主旋律を奏でる楽曲がボーカルのように、ハッキリと飛び出してきます。
以下の曲が参考になります。
Raise/小倉唯
蒼い孤島/茅原実里
ときめいてDream/三森すずこ

この明朗さ(分かりやすさ)が、どこを聞いても"あの曲だ"と判断しやすい⇒思い起こされる回数が増える
楽曲への興味を惹く大きな要素になっていると考えます。

なんとなく"俊龍"だとわかる


唯一無二のイントロと、わかりやすい主旋律を持った俊龍サウンドは、初めて聞く曲でもなんとなく作曲"俊龍"だと判ることが多いです。
音楽の専門知識とかがあれば、"こういう周波数の音が多くて..."みたいな分析できるかもしれませんが
私は専門知識ゼロの一般オタクのため、よくわかりません。
これは個人の感覚ベースなので、さらっと流します。

でもこれが、このあと挙げる理由に割と関わってきます。

俊龍警察と"LINEをやらない俊龍"

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めちゃくちゃ迷いました。本当にこれ書くべきかどうか。

しかし、どうしても外せない要素だと思ったので、本当に、仕方なく、断腸の思いで、書かせてもらいます。

"俊龍警察"と「LINEをやらない俊龍」提唱者の"そそ"が、俊龍の人気に多大な功績を残しています。


この社会においてトレンドが如何に重要であるかは、"紅蓮華"を見れば一目でわかると思います。

ぶっちゃけ紅蓮華以外にも素敵な楽曲は、アニソンにだってLiSAにだって沢山あります(紅蓮華を貶す意味合いは全くありません)。

でも数字として100万本売れたのは、間違いなく社会現象となった"鬼滅の刃"ブームの影響が非常に大きいです。



このトレンドを"俊龍"という題材で生み出したのは、間違いなくこの二人です。本当に認めたくないんですが。


2017年辺りに突如誕生した"俊龍警察"という名のアカウントは、"俊龍"という単語に反応して次々とRTいいねの無差別攻撃を開始しました。

作曲家の名前のみを狙い撃つ手動アカウントという、当時前例のなかった動きは話題となり、俊龍警察は着実に知名度を上げていきます。


程なくして、身内アニクラ現場で遊ぶなかで"そそ"というオタクが新しいコールを開発します。
説明するまでもないかと思いますが、Raiseのサビのコールで"LOVEラブリーゆいちゃん"と、既存のファンがコールを入れていたところに"LINEをやらない👏俊龍"と被せるものです。

既存コールをおちょくるタイプのものは、比較的流行に乗りやすい傾向にあります。コールは瞬く間に各所のアニクラ現場に輸入され拡散していきました。

やんちゃなオタク達は、新規開発されたコールをライブイベントでも使用するようになり、アニクラ現場に行く機会のないオタク層にも"俊龍"というワードが広まります。

一度呟けば俊龍警察に捕捉され、嫌でもそのワードの正体を知ることとなります。


こうして、Twitterアニクラ発のコール、イベントの相乗効果によって、今まで作曲家に興味を抱いていなかった層にも"俊龍"の名は瞬く間に広がりました。

ブームの去った過去の楽曲も、"作曲:俊龍"というだけで次々と掘り起こされていきます。
3つ目の理由として挙げたように、俊龍の曲はどことなくそれとわかる曲調です。流れる度にアニクラ芸によって、これは"LINEをやらない俊龍"の曲であることが知れ渡ります。

気付けばついに公式のライブイベントにも、俊龍の楽曲がセットリスト入りすれば会場内でもTwitter上でも"LINEをやらない俊龍"の大合唱が轟くほどになりました。


これが、俊龍という名前を爆発的に広め(てしまっ)た事件の概要です。
俊龍が強いと言われる最大の理由は、単純に多くの人の目に触れる機会を得たからと言えます。

まとめ&最近の俊龍


俊龍楽曲が強いと言われる理由は、以下の4つです。

  • 各曲に1つオンリーワンのイントロ
  • わかりやすい主旋律
  • なんとなく"俊龍"とわかる
  • 俊龍警察とそそ

曲の良さをロジカルに伝えるつもりが、奇跡の噛み合いを起こしたオタクの解説となってしまい、誠に遺憾です。
しかし皆さんにも、友人知人の評価が良いアニメから先に視聴する。なんて機会は多いと思います。

評価が賛否分かれることだって当然ありますが、触れられた回数が多い作品は、自然と多くのファンがつくものです。
トレンドとして多くの人の目に触れることとなった"俊龍"という言葉と、わかりやすい曲構成が、広く人々の目に触れ、コアなファンを作り、「俊龍=強い」の方程式を産み出したのだと思います。


ところで、今季(2020年秋)のアニメ"アサルトリリィ"EDに、作曲俊龍の”Edel Lilie”が使われています。皆さんはこの曲どう思いますか?

私個人的には、いい曲だけど、満点ではない。と評価しています。

ここ最近の俊龍楽曲に多いのですが、「オンリーワンのイントロ」を産み出そうとする余り、曲のキーが非常に高く、音階がせわしなく変わる傾向が出てきました。
2018年リリースの"インコンプリートノーツ"辺りから、特にこの特色が強くなったと感じています。
こういった曲は聞いていてちょっと不安になってくるので、あまり私の好みと合わない。というのが本音です。
”Edel Lilie”もサビにこの傾向が強いので、上記の評価となっています。

最近の楽曲だと"Like the Sun, Like the Moon"もサビが伸びやかでいい曲なんですが、イントロのキーがとんでもなく高くて驚きました。
"Hurry Love"はボーカルの和氣あず未さんに合わせたのか、最近にしては割と大人しめのキーで好みなんですが、随所の音運びが"Honey Come!!"に似ていて、オンリーワン感に若干欠ける印象・・・

とはいえ、200曲近くも曲をリリースされていて、全部で満点を取れ。なんて暴論にも程がありますよね。
でも、皆さんにもこの感覚は忘れないでほしいなと思っています。


"俊龍"="強い"という印象が根付いていますが、あなたの好みに合わなければ"弱い"と思ってもいいんです。

好みなんて人それぞれ違って当然です。大切なのは、貴方自身がどう受け止めたか。
それを周囲と合わせる必要はないし、逆に、違っている個人を揶揄するのは絶対NGです。

今後も、当ブログに限らず様々な場面で楽曲が評価されたり、けなされる場面に出くわすと思います。
ですが、受け取るあなた自身の意見は、あなただけのものです。それを他人に伝えるのも、心の内に秘めるも自由です。
それが音を楽しむってことなんだと思います。



ここまでお読みいただいた皆さん、ありがとうございました。
もしよろしければ、Twitterで引用やコメント頂けると嬉しいです。
次回は(気が変わらなければ)"アニメソングの定義"について書こうと思います。